寄港国検査(PSC)を支援し、航行の安全と海の環境を守ります。

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財団概要

設立の経緯

便宜置籍の進展にともない基準を満足しない船舶が増加し、安全性の低下が懸念され、寄港国による船舶検査(Port State Control: PSC)が基準不適合船を排除する有効な手段と認識されました。しかし、PSCの実施には次のような課題がありました。

  1. 近隣の港湾間で不適切な競争を招く恐れがある。例えば、A港が厳しく、隣接するB港が安易なPSCを行えば、船はB港に流れる。
  2. 船側にとって寄港国毎に検査されれば、円滑な運航に支障が出る。

これらを解決するには、一定地域において統一された手法でPSCを行うとともに、ある港のPSCで優良船と判定されれば一定の期間は近隣港ではPSCを行わない等の措置を取る必要があります。

このため、国連の専門機関である国際海事機関が「PSCに関する地域協力の促進に関する総会決議」を1991年に採択しました。これを踏まえ、アジア太平洋地域におけるPSCの地域協力に関する合意(以下「東京MOU」という。)が1993年12月に東京で策定されました。

本財団は、東京MOUに基づき行われるPSC関連の諸活動を支援し、海上航行の安全及び海洋環境の保全に寄与することを目的に、1994年3月に設立されました。

事業の内容

東京MOUに基づき行われるPSC関連の諸活動を支援する事業として、「MOU事務局事業」と「研修事業」を行っています。

1. MOU事務局事業

1)東京MOUに基づき、各国が統一された手法で効果的にPSCを実施できるように、次のような業務を行っています。

ア)各国PSC当局間会合の開催及びインターネットによる作業部会の運営
イ)標準検査マニュアルの作成・改訂及び関係当局への配布
ウ)検査情報、劣悪船リスト、検査統計等の作成及び公表
エ)国際海事機関等が主催する国際会議への出席及び情報交換
オ)PSCに関する情報システムの運営支援

2) 事業成果は、年報、英文ホームページにより一般向けに発信しており、世界中からアクセスがあります。2021年(2021年8月~2022年7月)の実績は下表のとおりです。

 

上位10ヵ国・地域:ページビュー数(2021年)

1 中国 57,645
2 日本 23,440
3 韓国 23,026
4 ベトナム 16,515
5 インドネシア 15,233
6 米国 11,167
7 台湾 10,659
8 シンガポール 9,645
9 ギリシャ 7,119
10 タイ 5,989
総ページビュー数l 240,261
The Thirty-third Committee meeting, Lima (Peru), November 2022
The Thirty-third Committee meeting, Lima (Peru), November 2022

2. 研修事業

1) 各加盟当局のPSC検査職員の能力向上や検査手法の統一化を図るため、各当局の職員を対象とした研修等を企画立案し実施しています。
  研修等の計画は、研修生、講師等の評価結果、加盟当局の意見等を踏まえ、5年毎に見直しています。
  現計画(2021年~2025年(2022年改訂))の研修等は、次のとおりです。

ア)PSC職員が最低限有すべき知識に関する座学及び実船訓練を内容とする3週間の一般研修(年1回日本で開催、事前研修(e-learning)が必須)
イ)特定分野に関する専門知識を得るための1週間の特別研修(2年に1回)
ウ)途上国の要請に応じ専門家を派遣して現地で行う1週間の研修(年3~4回)
エ)PSCに関する最新情報等を提供する1週間のセミナー(年2回(うち1回は事務局主催でオンライン開催、他の1回は加盟当局が持ち回りで開催))
オ)各国間の調和促進のためのPSC職員の交流プログラム(年7~8回実施)
カ)国際機関からの要請に応じ、研修への受入れ及び専門家派遣

2) 上記研修等への参加者は、原則各国1名、各国PSC当局又は国際機関の推薦者とする等、各国PSC当局が合意した基準により決定しています。